• マーケティング

売上の地図

◆本の概要

著者:池田紀行
ページ数:311ページ
第1刷発行:2022年6月20日

◆本書の目的

本書の目的は、売上に影響を与える主要因の構造を明らかにすることで、読者の皆さんが迷わず、できる限り最短距離で目的地に到達するための「地図」を提供することである。

◆地図の読み方

○売上を決める2つの「しやすさ」

売上(目的変数)に影響を与える要因(説明変数)はたくさんあるが、マーケティングのゴールを「買ってもらうこと」と単純化した場合、重要な要素は以下2つに集約できる。

・ブランドの想起されやすさ(メンタルアベイラビリティ)
・買い求めやすさ(フィジカルアベイラビリティ)

つまり、売上は思い出してもらいやすさと、買い求めやすさの2つの強さによって決まる。

○コントローラブルとアンコントローラブル

メーカーの売上を規定する要因は、おおむね以下の通り。

売上 = 人口 × 認知率 × 購入率 × 購入個数 × 購入頻度 × 購入単価

このうち自社の努力でコントロール可能な変数は、認知率、購入率、購入単価である。
(例外的に朝シャンブームで使用頻度を増やした事例などもあるが、汎用性・恒常性は低い。)
このコントロール可能な変数にフォーカスする。
戦略とは、特定の目的を達成するために、長期的かつ複合的視点で、限られた資源を最適に配分・運用する技術やシナリオである。

○2つの売上:「トライアル購入」と「リピート購入」

消費者は2回評価する。買う前に買いたいと思わせる力をコンセプト力、買ったあとに買ってよかったと思わせる力をパフォーマンス力とし、この2軸で売上パターンを表現できるとした。

多くの企業は近年、ブランド指名検索の減少という悩みを抱えている。これは、目先の売上につながりやすく、費用対効果も評価しやすい施策に企業が予算を傾倒させすぎたことで招いた問題だ。
今すぐ顧客とそのうち顧客の育成、このバランスが重要。ブランドが抱える問題点を短期と中長期に分け、それぞれに手を打つ施策の検討を進めてほしい。

◆売上と商品・サービス

業界各社が持つ技術力が、消費者ニーズを追い越してしまった。これが、どの商品もあまり変わらない、だったら安い方を買おうという具合に、コモディティ化が価格競争を引き起こしている背景だ。
高度に成長した現代の環境においては、競合がいない市場など存在しない。ということは、現代における戦略とは競争戦略を指す。ここで、競争の目的は、競合に勝利することでも、売上を上げることでもない。持続可能な利益を上げることである。短期的な売上を確保できたとしても、増収減益では競争に勝利したとは言えない。

◆売上と想起

最初に思い出してもらえるブランドは強い。第一想起ブランドは、

・確実に検討してもらえる
・最初に検討してもらえる
・検討後に買ってもらえる可能性が一番高い
・リピート購入であれば買い続けてもらえる可能性が一番高い

そのため、マーケティングコミュニケーションの究極のゴールは、第一想起を獲得すること、難しければ想起集合に入ることである。

○ブランドカテゴライゼーション

知名集合と非知名集合:知っているか、知らないか
処理集合と非処理集合:よく知っているかどうか
想起集合:購入における好意的な選択肢の集合体(2~3ブランド程度)
保留集合:特徴をある程度理解しているものの、想起集合には入れていない
拒否集合:特徴をある程度理解している上で、絶対に買いたくないと思っている

◆売上とソーシャルメディア

ソーシャル化の本質は、「社会にすでにある存在していたモノやコトに、人と人のコミュニケーションが介在することで、従来の意味や価値の本質が変化すること」である。
これから注意すべきは、これまで実施してきたマーケティングコミュニケーションをソーシャル化させることなのである。
例えば、
思考・感情→X
テレビ→YouTube
飲食店選び→食べログ
カメラ→Instagram

◆売上とロイヤルカスタマー

売上は結果である。再現可能かつ持続可能なマーケティングとして重要なのは、なぜその顧客は自社商品を買い続けているのか、なぜその顧客は友人や知人を紹介してくれたのか、の理由である。

◆売上とパーパス

パーパス経営は2015年より全世界で注目されるようになった。その背後にはさまざまな要素が関係している。

・サステナビリティ―への意識の高まり
・あらゆるモノやコトのコモディティ化
・若年層を中心とした働きがいの変化
・ESG投資への高まり

◆売上と広告

広告の一番の強みは認知獲得。弱みは情報量に限界がある点。興味喚起、理解促進、購入意向の向上までもっていくには、広告だけでは限界がある。また、消費者の態度が必ずしも肯定的ではないことも弱みの1つである。
広告予算の設定は、ローリスク・ローリターンの施策に70%、ミドルリスクミドルリターンの施策に20%、ハイリスクハイリターンの施策に10%を投じる。

◆売上とPR

PRのゴールはステークホルダーとの信頼関係の構築である。
博報堂生活総研が2年に1度実施している調査では、「今、どうしても欲しいものが、これといって思い当たらない」と回答する人は34.8%。認知はお金で買うことができるが、意向はお金で買うことが難しい。ここがPRの出番であり、「これからはPRの時代だ」と考える。

◆売上と効果測定

広告は売上をつくるトータルマーケティングの中の1つの要素に過ぎない。広告は、「認知率10%を20%に向上させる」「自社商品の特徴理解度15%を25%に引き上げる」など、広告によって達成可能かつその指標が向上すれば売上獲得に貢献する指標を待たせ、運用するべきなのだ。

効果測定のモヤモヤを解消するには、すべての施策でKGIを設定・測定する必用がある。エンゲージメントの向上で何を達成したいのか?PRで記事掲載を増やすことで、誰のどんな意識や態度、行動を変えたいのか?その答えがKGIだ。KGIは目的、KPIは手段と理解する。
KGIの多くは消費者やユーザーの認知、興味、好意、意向といった意識・態度に関するものであるため、アンケートを行わなければ取得できないため、測定されることは少ない。