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BtoBマーケティング 打ち手大全

◆本の概要

著者:二平燎平、仙波勇太
ページ数:300ページ
第1刷発行:2024年3月21日

◆前提と方針 BtoBマーケティングの勘所を押さえる

○リード獲得の主戦場はネット広告

ネット広告はBtoBマーケティングにおいて効果の高い施策であるという認識が根付いており、これを攻略することが競合他社に差をつけるための最優先事項である。

ネット広告の存在感が大きい理由
・ターゲティング精度が高い
・PDCAを回しやすい
・少額からはじめられる

○BtoBは「課題」から全てがはじまる

○リードのフォローを仕組み化せよ

シリウスディシジョンのリサーチによると
・BtoB企業が獲得した見込み客のうち、75%はすぐには検討に至らない。
・営業フォローを止めた見込み客のうち2年以内に競合から製品を購入する割合
従って、獲得したリードの7割以上がすぐには商談に至らないことを前提にリードをフォローできる体制を整えることが必須である。

○育成よりもタイミングのキャッチが鍵

顧客のタイミングで自社に問い合わせてもらうには、資料請求などがあった検討の初期段階から接点を持ち、MAを活用するなどして、検討が進みそうなタイミングが分かるような仕組みを構築することが鍵となる。
そのためには顧客が検討を進める上で求めるであろうコンテンツが、自社のウェブサイトなどに豊富に用意されていることも必要。
そうすれば、閲覧されたことをMAで検知して検討タイミングの把握に役立てたり、新たなリード創出に活用したりすることができる。
コンテンツを通じて顧客が困った時に声をかけてもらうよう信頼関係を構築する。

○BtoB特有のDMUを理解せよ

DMUがどのような集団で成り立っているのかを理解し、その人々の立場にあわせた施策を行うことが重要になります。典型的なDMUは以下の6通り。
・ユーザー ・起案者 ・購入者 ・決定者 ・インフルエンサー ・チェッカー
相手が誰かによってによって気になるポイントは異なる。
例えば、決定者に向けたコピーは「管理工数が50%改善」、インフルエンサーには「導入事例が500社以上」等

○顧客の意思決定は

HubSpot Japanのリサーチによれば「どのような印象を持つ会社のサービスや商品を購入したいと思いますか?」という質問に対し、「信頼できる」という回答がトップの41.7%
(製品の質が高い30.5%、価格に見合う製品やサービスを提供している28.3%)
また、購入への関与度が低い、かつ商材に対する理解度・評価能力が低い場合、感情的処理が多くなる。
ロジカルで判断し、感情で納得してもらう
顧客は失敗できないというインセンティブを強く感じている
例えば、そうした中では「導入数が多い」という実績は「信頼できる」に繋がる。

信頼に繋がる要素
・営業担当の人柄、知識が豊富
・会社としての勢いを感じる
・実績、導入数
・製品、サービスの質

○顧客解像度がアイデアを左右する

顧客解像度が高いほど、自社サイトのコンテンツや広告クリエイティブを作成する上で、効果的なアイデアが生まれやすくなる。

顧客解像度を高めるためのアクション
・特定の顧客へのインタビュー
・自社の営業同行や営業担当者へのインタビュー
・自社の製品・サービスの利用
・既存顧客へのアンケート
・レビューサイトに投稿された口コミの分析
・業界や顧客に詳しい有識者へのインタビュー

顧客理解に関する質問
・受注が多い企業の傾向や特徴(業種、規模、役職、部門) 【顧客像の明確化】
・最終的な受注の決め手 【顧客像の明確化】
・受注が難しい企業の傾向や特徴 【集めるべきでないターゲット理解】
・検討のきっかけとなった課題 【顧客課題、カスタマージャーニー理解】
・製品を探し始めた時のアクション 【顧客課題、カスタマージャーニー理解】

製品理解に関する質問
・顧客に刺さるセールストークや機能 【勝ちパターン理解】
・顧客が導入にあたって気にしている点 【導入を阻む障壁】
・比較検討される他者と比較される点 【競合理解】
・失注する代表的な理由 【失注理由】
→顧客解像度が高まり、ペルソナやカスタマージャーニ―がつくれるように。広告やLPへの活用も。

○ジャーニーを描いて顧客の視点に立て

時として自社の都合だけで考えてしまうミスを犯してしまいがち。それを防ぐためにカスタマージャーニ―を作成することをオススメする。

カスタマージャーニ―作成のポイント
・起点となるコンペリングイベントの把握
・初動の把握
・比較検討するポイントの理解
・決定時の最重要項目の理解
・DMUの理解

起点となるコンペリングイベントの把握が特に重要
コンペリングイベントとは、顧客が抱えている何かしらの差し迫った状況。

顕在型コンペリングイベント
社内外で特定の事象や問題が起き、対処する必要がある状況。
・法改定に合わせてシステムを変更したい。
・ウェブサイトをリニューアルした。
・退職による欠員を補充するため新規採用が必要

ソリューション型コンペリングイベント
顧客の課題に対し、自社から期限を決めてつくり出したもの。
3年以内に売上を倍増させたいと顧客が考えている場合、次のような提案が可能。
・1年以内に営業職の人員数を1.5倍にする。
・そのための採用活動を3か月後から開始する
・以上の実現には、今月中での採用支援の発注が必要。

自社都合型コンペリングイベント
サービス提供者が実施するキャンペーンなどによって以下のようなコンペリングイベントを作り出せる。
・今月中に発注してくれたら20%OFF

カスタマージャーニを描く

○BtoBで鉄板の3つの訴求

・売上が伸びる
・コストが下がる
・これがないと業務がまわらない
かつ自社にしか提供できない「バリュープロポジション」を加える
バリュープロポジションを見つけるにあたっては、3C分析、顧客解像度を上げることが有効

◆広告運用の準備 検討段階に適したCVポイントを備えよ

○CVポイントの種類と特性を把握せよ

現代のBtoBマーケティングにおいて、代表的なCVポイント
・問い合わせ、見積
・無料トライアル
・デモンストレーション
・診断コンテンツ
・サービス資料、料金表
・セミナー
・ホワイトペーパー

CVポイントの特性を把握するには、「商談化までのスピード」「CPA」の2軸に分けて整理するとよい。

○ホワイトペーパーは受注に繋がるのか?

ホワイトペーパーのコンテンツと自社商材をうまく連動させる。
例えば、マニュアル作成ツールを提供しているA社
「マニュアル作成の教科書」を作成。マニュアルの作り方は理解できるが、想像以上にリソースをとられる。
実行できるけど面倒くさいという状態に対して、弊社ツール導入により作成工数30%減、無料トライアル可能、テキストマニュアルから動画制作可能、詳細問い合わせはこちら、と導線をはっておく。
このような流れをコンテンツに盛り込むことで、商談や受注に繋がりやすくなる。

ホワイトペーパーの主な役割はCPAを抑えてリードを獲得することと、リードのステータスを管理すること。
CPAの目安は業界や商材によって異なりますが、おおむね5000円~15000円程度になる。

CRMにおけるステータス管理の例
「1分で分かるCRM」「失敗しないCRMの選び方~比較表つき~」と複数用意し、異なるスコアを割り当てる。

○ホワイトペーパーの王道は3パターン

・調査レポート
・事例集
・ノウハウ
―教科書 ―チェックリスト ―セミナー資料 ―課題解決 ―漫画 ―比較表 ―入門書、用語集

○ホワイトペーパの目的は二択で決める

役割や種類を把握出来たら次の3ステップで作成を進める。
・企画:目的やコンテンツの大枠の検討
・制作:コンテンツをドキュメントやスライドに落とし込む
・パッケージ化:表紙のデザインやタイトルの決定

企画の段階では目的を決める。「リード獲得に振り切るのか?」「商談化を推進するのか?」
目的を決めれば作成すべき種類も絞られる。以下の通り

ホワイトペーパー作成時に意識するポイント
・顧客の困り事
・顧客の理想像
・顧客がいる市場の話題やトレンド
読み終えた時にアクションを起こしたくなるような情報提供を心掛ける。

○ホワイトペーパーはゼロからつくるな

2ステップ目の「制作」について
制作時の4つのポイント
・既存コンテンツのリサイクル
提案資料、オウンドメディア記事など。
・社内インタビューを行う
・顧客へのアンケートを実施する
・コンテンツの見出しを先に決める

○ホワイトペーパーは見た目も大事

3ステップ目、パッケージ化
いわば外見を決める作業だが重要。デザインやタイトルを作りこむ。
「本体価値」「知覚価値」を意識して制作する。

○セミナーは企画が9割

自社や製品サービスの認知獲得だけでなく、商材のよさを伝えて商談化を促進することも可能。
検討促進、導入後の活用度向上と実質的にすべての段階への応用が効く施策です。
セミナーは企画が9割であり、テーマやタイトル、トレンドによって集客が大きく左右する。

○セミナーの起点は3つの目的と4つの形式

セミナーの目的は3つに分けられる
・集客
登壇者の知名度が重要。カンファレンス型やテーマ特化型など。

・受注や商談化
少人数で実施してユーザーの課題をピンポイントでに解決したり、導入事例などを用いて興味関心を高めたりする企画にまとめるのが好ましい。

・既存顧客のフォロー

○セミナーを成功させる5つの柱

・トレンドを活用する
・顧客の意見を反映する
・カスタマージャーニ―から発想する
・コンテンツをリサイクルする
・外部の専門家を登壇者として呼ぶ

○CPAと商談化率の相場をつかむ

CVポイントの目安となる広告のCPAと商談化率
・問い合わせ
CPA:1件あたり数万円~10万円 商談化率:30~50%

・資料請求
CPA:1万円~5万円 商談化率:20~40%(問い合わせよりも検討が進んでいないため。)

・セミナー
CPA:5000円~2万円 商談化率:ノウハウ系は1~5%、サービス紹介は5~15%

・ホワイトペーパー
CPA:5000円~2万円 商談化率:1~10%

受注率の目安はBtoB企業の場合20~30%程度

○CVポイントを無暗に増やすな

複数のCVポイントを用意することは重要だがどにかく増やせばいいというわけではない。
創業期は、資料請求のみ、問い合せのみにするのが好ましい。(リソースが不足しているため。)
営業・マーケティング部門が組織化され、拡大フェーズに入ったら、無料トライアルなどの「深い」CVポイントから優先的に増やしていく。商談、受注に繋がらないリードを増やすことに意味はないので、最終目的に近いCVポイントから追加していく。

あえてCVポイントを絞り、確度の高いリードのみに対応する手法
この手法を行うには次ページの前提条件が必要です。
・市場である程度認知され、ポジティブな評価を受けている
・オウンドメディアやSNSで数多くの情報を露出していく
・口コミでの紹介が多い

○施策の優先順位を見極めろ

施策の優先順位を見極めるには、まず「カテゴリーキーワードの検索数」×「ターゲット数」で自社商材のタイプを分類し、立ち位置を確認してください。
縦軸の検索数は目安として月間数千以上あると多い=上側の象限、それ以下なら少ない=下側の象限、という分類になるでしょう。Googleキーワードプランナーで検索可能。
横軸のターゲット数は前述の業界×規模の分類を参照。業界を絞らないホリゾンタルな商材で、対象とする企業規模がSMBであればターゲット数は多くなります。

・検索数が多く、ターゲット数も多い
広告については検索面がメインの獲得チャネルになります。「会計ソフト」などのカテゴリーキーワードで検索してくる意欲の高いユーザーが多いため、CVポイントは無料トライアルや資料請求、見積といった、適度にハードルが高いものがいいでしょう。
同時にmeta広告などのSNS広告やディスプレイ広告をサブとして展開します。これらから自社サイトに訪れたもののコンバージョンしなかったユーザーに対しては、リターゲティングをしっかり行って再訪問を促しましょう。facebook広告では類似ターゲティングにも積極的に取り組みたいところです。
優先順位の高い広告以外のマーケティング施策としては、自社サイトのSEO対策があげられます。さらに、BtoBむけの比較サイトへの出稿も検討してみましょう。
・検索数は少ないが、ターゲット数は多い
このような商材では、meta広告やX広告、googleデマンドジェネレーションキャンペーンなどを活用しながらホワイトペーパーやセミナーといったハードルが低いCVポイントを設定し、リードを獲得していくことをお勧めします。これにより、コンバージョンしたユーザーが蓄積されていくことで、facebook広告の類似ターゲティングがさらに効いてきます。
また、X広告もホワイトペーパーやセミナーなどのCVポイントであればBtoBでも十分に活用できます。

広告以外の施策としては、オウンドメディアでの情報発信があげられます。(長期施策)
X、instagram, youtubeなどのSNS運用により、リード獲得につなげる施策もマッチすることが多いと言えます。自社商材にまつわる役立ち情報、面白い情報を発信し続け、カテゴリー内で第一想起をしてもらえるように取り組んでいくのがポイントになります。加えてプレスリリースなどで広報活動にも力を入れましょう。

・検索数は多いが、ターゲット数は少ない
広告については検索面を中心に強化していく。しかし、ターゲット数が少ないうえに検討期間も長くなるためすずに問い合せや商談につなげることは難しいでしょう。ホワイトペーパーやセミナーといったハードルの低いCVポイントからリードを獲得し、長期的にコミュニケーションを重ねていく必要があります。

ハードルが低いCVが中心になるためSNS広告も活用していきます。企業の属性や役職でのターゲティングが可能なLinkedIn広告もおすすめ。

広告以外での施策では、カテゴリーキーワードの検索数の多さを活かした上位表示を狙うため、自社サイトやオウンドメディアのSEOが必須になるでしょう。SNS運用も有効。

エンタープライズ向けの商材になるほど、オフライン施策との組み合わせが重要になる。

・検索数が少なく、ターゲット数も少ない
オフライン施策を重点的に行うべきであることは前述した。具体的な施策としては、CXOレターや顧問サービスを通じてターゲットなる人を紹介してもらうほか、テレアポやDM、展示会、FAX、業界紙への出稿などの施策を駆使してキーマンとつながり、提案していくなどが考えられます。

○緊急性と検討頻度で広告を使い分ける

前節ではカテゴリーキーワードの検索数とターゲット数の2軸で商材タイプを分類しましたが、別の切り口のでの分類がある。「緊急性」と「検討頻度」
BtoB商材における「緊急性」とは、導入を完了するまでの期限が決まっており、それが差し迫った状況であることを意味しています。「検討頻度が高い」とは、月毎、四半期ごとといった短い区切りで導入を検討するタイミングがあるということです。

例えば、
「緊急性が高く、検討頻度も高い」:広告の運用代行や動画制作などの販促支援系サービス

「緊急性は高いが、検討頻度は低い」:バックオフィス系のサービス。法改正により●ヶ月後までにシステム導入が必要、人員増に備えた業務効率化を来年度以内に実現したなど。

「緊急性が低く、検討頻度も高い」:DXプロジェクトの立上げ支援や組織コンサルティングなど、ニーズが顕在化していないサービス。

このように商材の緊急性と検討頻度を理解しておくと、広告運用において正しいアクションを取りやすくなります。

「緊急性が高い」:検索広告

「緊急性が低い」:Meta広告などのSNS広告やディスプレイ広告

CVポイントの設定

○リード獲得後の成果を可視化せよ

獲得したリードを商談に繋げるため、広告媒体ごとの費用対効果を明確にするため、
google広告やMeta広告といった広告媒体の管理画面とSFAやCRMツールとの連携が必要不可欠です。SFAやCRMと連携することで広告媒体ごとのリード獲得後の商談化率などが可視化され、商談・受注ベースでの費用対効果をもとに、正しい予算の配分や訴求の改善が可能になります。

○MAのスコアリングは属性×行動で考える

MAの活用推奨する理由は購買プロセスの57%を占める事前の情報収集の段階で、リードの状況を把握する必要があるため。MAを活用することで、営業担当者は適切なタイミングでリードにアプローチでき、商談や受注につなげていくことが可能になります。
MAでスコアリングを行う時には、いかに示した「属性情報」と「行動情報」の2軸で考えるようにしてください。
属性情報:企業の従業員数や売上高、業種など。「FORCAS」などのターゲットリスト生成ツールを活用して生成するといいでしょう。
行動情報:自社サイトの閲覧履歴、ホワイトペーパーやサービス資料のDL履歴といったファーストパーティーデータを指すことが多いです。
MA導入初期は「リードが少なすぎて機能しない」、「運用そのものが困難」などの原因となるため、シンプルな設計で運用するとよい。

○広告とは嫌われる存在である

「共感」と「発見」があり、認知不可の低い広告が理想的

魅力的な広告と感じてもらうためのチェックポイント

ターゲットにとって「共感」や「発見がある」メッセージ
「自分のことじゃん!」「こんな方法があったのか!」「確かに今のままだとまずいかも…」「もっと詳しく知りたい!」

・認知不可が低く、自然と情報を受け取れるデザイン
情報量を絞り込むことが大切。

○課題感を刺激するメッセージが刺さる

クリエイティブを制作する過程において、顧客のイメージを描くことは非常に重要です。
「顧客が今抱えている課題に対して、自社の製品・サービスをどう認識しているか?」という視点で考えます。
この認識段階を明確にすることで、より適切で効果的なメッセージを考えられるようになります。

○LPはファーストビューで勝負が決まる

「自社商材がなぜ最適な解決策なのか?」を明確に提示できなければ、競合に顧客を奪われるリスクが高まります。
LPのファーストビューには課題への共感を誘うイメージ、何らかの改善効果を図解したもの、製品・サービスの利用イメージなど、キャッチコピー+画像の組み合わせでパッと見てすぐに興味持ってもらえる組み合わせを追求しましょう。

○媒体の優先順位を決める3つの基準

最優先は顕在層に向けた検索広告、google広告やYahoo広告。
次いで準顕在層、潜在層が対象となるSNS・ディスプレイ広告となる。具体的な媒体選定は次の3つの基準で進めてください。

・BtoBターゲティング機能
・クリエイティブの情報量
・ユーザー数
特に優先順位が高いのがMeta広告で、管理画面から簡単ターゲティング設定可能。
LinkedIn広告では業種や部門、規模といった商材なターゲティングが可能。