• 思考法・スキル

ファイナンス思考

◆本の概要
著者:朝倉祐介
ページ数:307ページ
第1刷発行:2018年7月11日

・PL脳
売上高や利益といった損益計算書上の指標を目先で最大化することを目的視する志向態度。

損益計算書の内容はあくまで過去の一定期間のおける業績の結果を示しているにすぎない。
一定期間の売上高や利益といった数値を最大化しようとする取り組みは、必ずしも会社の長期的な成長につながるとは限らない。
例えば、会社の製品開発を強化するための研究開発費や商品の宣伝や企業ブランド浸透にかけるマーケティング投資を抑えると、短期的には利益は増える。しかし、長期的には有効とはいえない。

会社が世の中に提供する価値の大きさをそのまま数値化して測ることはできない。
価値の代替指標として不完全ながらも目安となるのがお金。

会社の評価軸

・事業の成果 評価ツール:損益計算書
・保有する経営資源 評価ツール:貸借対照表
・会社の価値 評価ツール:ファイナンス

会社の価値は「その会社が将来にわたってどれくらい多くのお金を稼ぎだすことができるか」といった観点によって評価される。
世の中はお金に換算して測ることのできない価値が多々ある。
しかし、世の中の物事の価値を示す共通の指標がお金以外には存在しないのが現状。

本書におけるファイナンス思考

会社の企業価値を最大化するために、長期的な目線に立って事業や財務に関する戦略を総合的に組み立てる考え方。(≒会社の戦略の組み立て方)
経営資源であるヒト、モノ、カネを有効に活用して、会社の価値を最大化させること。それがファイナンス的観点から会社に期待されている役割。
PL脳は短期視点により会社の成長を阻む。

会社の意思決定の中には、会社の価値向上ではなく、実は目の前のPLを最大化することを目的とした近視眼的な内容が紛れていることが珍しくない。
会社経営において本質的に重要なことは事業価値を向上することであり、財務諸表上の数値はあくまでその過程を映し出す指標に過ぎない。

PL脳の行動パターン

・黒字事業の売却をためらう
翌期からの売上と利益が減少する。ファイナンス視点に立った際になぜ黒字事業を売却する必用があるのか。カギは「時間的価値」と「資本コスト」

・時間的価値を加味しない
将来的に収益の減少が見込まれる事業であれば事業価値が高いうちに売却したほうが、買い手、売り手、社員にとってよい。

・資本コストを無視する
資本にはコストがかかる。資本コスト(債権者から調達した負債にかかる支払利息などの負債コストと、株主からの出資によって調達した資本に必要な株主資本コストの合算)を加重平均したWACC(加重平均資本コスト)を事業に対して投じたお金に対する利回りであるROIC(投下資本利益率)を上回らねばならない。

・事業特有の時間間隔を勘案しない
一時的な損失を出すような投資ができない。

・事業特有のリスクを勘案しない
異なる性質の事業の場合、売上や利益が同程度であれば同程度重要な事業と思ってします。事業毎のリスクを把握する。また、リスクの低い事業に対しては負債などより低い資本コストで資金を調達し、リスクの高い事業に対してはエクイティファイナンスのように、より高い資本コストで資金を調達するというのが財務戦略の基本です。

PL脳に侵された会社の症例と末路

・最もシンプルな症状「売上至上主義」

・会計知識があっても陥る「利益至上主義」
―マーケティングコストや研究開発費を削る
PLに計上される費用の中には、効果がその決算期の後になって表れるいわば資産的な側面のある費用も含まれている。

―のれんが発生する企業買収を避ける
のれんは一定期間をかけて会社のBSから均等に償却される。外部から見ると利益が目減りしているように見える。