リーダーの仮面
◆本の概要
著者:安藤広大
ページ数:287ページ
第1刷発行:2020年11月24日
リーダーはその場の思い付きで何かを言いたくなる。
しかし、チームの成果を最大化させるためにリーダーが見るべきポイントは5つ。
「5つのポイント」にフォーカスし、それ以外のことは任せる。見守る。待つ。スルーする。
「感情」は横に置いておくべきだが、だしていい瞬間もある。
それは「結果が出たあと」
決起集会や景気づけに声を出したり、円陣を組んでテンションを上げても意味はない。
人間は上がった感情は必ず下がるようにできている。
だからこそ、モチベーションや個人差によらない「理論」が大事になる。
その環境を整えることがリーダーの仕事。
ポイント1「ルール」
→場の空気ではなく、言語化されたルールをつくる
ポイント2「位置」
→対等ではなく、上下の立場からコミュニケーションする。
ポイント3「利益」
→人間的な魅力ではなく、利益の有無で人を動かす。
ポイント4「結果」
→プロセスを評価するのではなく、結果だけを見る。
ポイント5「成長」
→目の前の成果ではなく、未来の成長を選ぶ。
リーダーの役割は、部下たちのモチベーションを上げることではなく、成長させること。
第1章 安心して信号を渡らせよ 「ルール」の思考法
組織においてルールがないのは以下のような状態
「自由に走っていい」と言ったけど、いま60キロで走っていたよね?
ここは50キロ以上で走っちゃだめだから違反です。
言われた方は「最初から言ってよ」となるはず。
ルールが明確でないと、リーダーの顔色をうかがい、空気を読みながら行動するためストレスになる。
自分を主語にする
「この会社では早めに出社した方がいいよ」
「一般的にあいさつはするものだよね」
「この仕事、早くやらないと上が怒るよ」
「できなくても部長には自分がうまく言っておくからさ」
このような言い方は最悪。
この手法が責任逃れであり、リーダーとしては絶対にNG
こうした言動は初めてリーダーになった人がしがち。
プレーヤーの気持ちが残っていて、偉そうにすることに抵抗があるため。
役職があがり会社のナンバーツー的な存在がこのような振る舞いをはじめると組織は崩壊する。
そのくらいの危険な言動である。
チームが成長するかどうか。
それは、リーダーが感情的に寄り添うことをやめられるかどうかが鍵を握っている。
また、ルールが間違っていたことや、不備があったことは潔く認めて、新しいルールを決める。
言ったことは変わってもいい。
第2章 部下とは迷わず距離をとれ 「位置」の思考法
責任者がいないと何も動かない
ピラミッド組織は成長スピードが速い。
それは、決定する人が明確で、責任の所在がはっきりしているから。
誰に責任があるかを決めておかないと、物事は進まない。
リーダーはお願いをするな
平等と対等は違う。
「位置を明確にしたコミュニケーション」を部下に行う。
「時間があるときで構わないのでやっておいて」
「やりたくなかったらいいんだけど、この仕事できる?」
これは、典型的な間違い。
間違っている理由は、
「決定権が部下にあること」「責任の所在を曖昧にしていること」
「報告・連絡」と「相談」は異なる
上司が相談にのっていいことは2つ
「部下の権限で決められないこと」を決める時
「部下が自分で決めていい範囲なのかどうか」を迷った時
第3章 大きなマンモスを狩りに行かせる 「利益」の思考法
組織あっての個人
フリーランスになろう、副業をやろう、会社を利用して個人のスキルアップをしよう、という流れがあります。
しかし、「会社にうまく使われる」ことを意識した方が成長は早いと考える。
まずもって、会社で評価されない人が社会から評価されることは滅多にない。
独立して成功できる人は、組織でもやっていける人。その順番を間違えない。
利益を目指せば迷子にならない
「組織のメリットは仲間との結束感だ」こういう側面もあるが、あくまでも副次的なメリット
利益が先にあり、仲間意識はおまけでついてくる
近年、日本中が迷いながら仕事をしている。
だからこそ、「組織の利益」に向かせるために仕組みが必要である。
利益を最大化させ、全員の取り分を増やす。
現場レベルでメンバーをマンモスに向かわせるのが、リーダーに役割である。
利益相反を起こさない2つの軸
板挟みにあい、消耗している時、考えてほしいのが
「これって、利益相反を起こしていないか?」
個人が追及することで会社が利益を得るもの。それは「成長」しかない。
成長という「利益」を得ることができるのは、会社の成長に貢献できているからです。
「成長」という利益を追い求める限り、会社の利益相反を起こさず、永遠に利益を得続けることが
能です。
「仲間と楽しく働きたい」「充実した福利厚生がほしい」
などの部下が求める利益は、ときに会社と利益相反を起こす。
「自分の価値観」は押し付けても意味がない
部下を指摘する時に「頑張る理由を用意しない」
なぜなら、上司からの指示を実行するのは当たり前であり、理由はいらないからです。
よくある失敗は、仕事の意味や価値を伝えること。
「お客様の笑顔をイメージしたら頑張れるでしょう」
「世の中に対して大きな価値を生み出しているのだから頑張らないと」
などの仕事の価値観を伝えて心を動かそうとする行為は逆効果。
仕事の意味や価値観は自分自身で見つけるもの。
「位置について、よーいドン!」をやろう
部下たちが不平等感なく、フェアな状態にあること。
それが「位置について」です。
全てのスポーツにはルールがあり、フェアな立場でプレーをしている。
仕事を限りなくスポーツに近づけていくのが、目指すべきリーダーの役割である。
第4章 褒められて伸びるタイプを生み出すな 「結果」の思考法
客の言いなりは組織の不利益
「会社よりもお客様からの評価を大切にしよう」この言葉に欠落しているものは
「会社の未来」への視点
この瞬間顧客にとっての利益を最大化するという選択をして、
値引きや対応をしてしまうことは組織の利益を損なっている。
お客様や社会が喜ぶからといって、「組織の利益」を減らすような行動は絶対に評価してはいけない。
何気なく褒めると部下は勘違いする
プロセス重視の弊害として有名なのは「残業アピール」
リーダーが残業を評価している気がなくても、ちょっとした言動によって評価されていると部下に思わせると認識のずれが生じる。
プロセス管理を省くと労働時間は減る。
褒めることの大きすぎる弊害
人間の意識構造上、褒められた時に「その少し下のところ」が「あたりまえ」の基準になる。
「あたりまえ」の基準を設定し、それを大きく超えたときだけ褒めるようにする。
「褒められて伸びるタイプなので、褒められないとやる気がでない」
小学生ではないので、このようなタイプを認めてはいけない。
お客様からの笑顔や家族から褒められることにより個人的な承認欲求を満たすことは自由。
しかし、それを満たすことはリーダーの仕事ではない。
「手取り足取り」と「背中を見せる」のあいだ
目標を設定したら、その期限が来るまでリーダーから確認してはいけない。
口を出したくなる。過去の自分のやり方を押し付けるのはNG
途中のプロセスは、部下が創意工夫をしたり、失敗を繰り返したりして試行錯誤させる。
見かねて手を貸してしまうと、部下が失敗から学べるチャンスを奪う。
第5章 先頭の鳥が群れを引っ張っていく 「成長」の思考法
スキルの差はあっというまに埋まる
多くの仕事において高度なスキルは必要ないことがほとんど。
人間の能力そこまでの差はない。
あるように見えるのは、これまでの経験と仕事のマッチ度が高いことによる。
このような差はすぐに埋まる。
そうなると切磋琢磨が起こり、トップの座が入れ替わるようになり全体のレベルが上がっていく。
組織がこのような状態になると、全体の成長スピードが格段に伸びる瞬間が訪れる。
そうなるように全体のステージを引き上げるのが、リーダーの仕事。
組織は成長の場を提供するのみ
多数の採用応募がくる。中途採用に提示する給料は前職の2割減の給料。
一番の理由は「成長してほしい」ため。
だから、入社後に「どうやったら給料が伸びるか」という条件を示す。
能力のある人を高い給料で採用するのではなく、場を提供して成長してもらう。
これこそが、私たちの会社が提示できる最大のメリットである。
なぜ優秀な人だけを集めても、うまくいかないのか
あるベンチャー企業では超優秀な人たちをたくさん集めたが事業が失敗した。
なぜか?
彼らが考えていた優秀さからは「組織適応能力」の概念が抜け落ちていたからである。
組織適応能力と能力の重要性は50対50の関係。
どんなに元の能力が高くても、適応能力が低かったら、どの会社に入っても半分の力しか発揮できない。
「変わった気になる」を徹底的になくしていく
「人は経験とともにしか変わらない」
多くの人はこんな勘違いをする
「たくさんの知識を得れば変われる」
「勉強すれば変われる」
「偉い人から話を聞けば変われる」
これは全て錯覚。
知識は経験と重なることによって本質に辿り着く。
終章 リーダーの素顔
生きる基盤となるコミュニティが会社だ
会社、家族、趣味、友達、生きるうえで様々なコミュニティに属するが、
唯一会社だけが「糧を得るためのコミュニティ」である。
その他のコミュニティは会社があってこそ成り立つ。
リーダーは部下に「糧を得る能力」を高めさせる環境を用意する。
給料とは何かを考えるとき
給料とは有益性への対価である。
生み出した有益性以上に給料をもらっていた人たちというのは、いわば借金をしている。
これからは、誰が借金をしていたかは如実に表れてくる。
反対に借金をせずに貯金をしながら働いてきた人、つまり「組織の利益に貢献し続けた人」
は変化の時代にも慌てずに対応できる。
最後に
経験とともにしか人は成長しない
将来的に速度が上がるための経験であれば、「ロス」だったとしてもそれは「成長の材料」になっていく。
これは必要なもの。時間をつかってもいい。
答えを与える組織は、結果として速度が遅くなる。