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数値化の鬼

◆本の概要
著者:安藤広大
ページ数:287ページ
第1刷発行:2022年3月1日

「客観的に自分を見ろ」というアドバイスがある。
しかし、そんな簡単に、「自分に足りていない部分」は見えない。
唯一それを可能にするのが「数字」である。

今の価値観は「数字が全てではない」という言葉を、
「数字は無視していい」と、都合よく解釈してしまっている。

数字を用いて安心材料にするだけでは意味がない。
次の利益につながらないのであれば、「意味のない数値化」となる。

数値化のメリットは、何よりも「コミュニケーションコスト」を減らすこと。
ここで言うムダとは、「データのない不毛な会議」「好き嫌いや空気の読み合い」「認識の違いによる仕事上のエラー」等。

序章 「数値化の鬼」とは何か

「数値化された評価を受け入れる」「自分の不足を数字として受け入れる」
この2つを理解できれば、「主体的」な数値化のノウハウで自分の仕事に取り組むことができる。

ステップ1 「行動量」を増やす
→自分の行動の数を正確に数えること

ステップ2 「確率」のワナに気をつける
→割り算による安心感のワナに気をつけること

ステップ3 「変数」を見つける
→仕事の中で何に集中するかを考えること

ステップ4 「真の変数」に絞る
→ムダな変数を削り、さらに重要な変数に絞り込むこと

ステップ5 「長い時間」から逆算する
→短期的と長期的、2つの軸で物事を見ること

第1章 数を打つところから始まる 「行動量」の話

やり方は人それぞれで自由
上司は部下の「プロセスを評価しない」という考えがある。
自分で業務内容を改善して、初めて人は成長する。

行動までに時間がかかる3つの理由

・「何をすればいいかが明確ではない」
「P」の数値化が甘く、計画や目標の中に数字がないので実行に移れない。

・「失敗したくない」
「D」の後のフォローが重要になる。失敗することで罰を受ける状況だと行動できない。

・「上司やリーダーの言うことが納得できない」
根本的な理解や腹落ちは遅れてやってくる。まずはやってみる。

「やっていればいいんでしょ」という安心材料は危険
部下からするとKPIの方が大きな目標であるかのように誤解する恐れがある。
一度設定したKPIにとらわれることなく、
つねに「P」に向かっている意識があるかどうかが試される。

目標とは地図である
あなたは会社から与えられた「評価項目」を瞬時に思い出せますか?
目標を覚えていないのに日々の仕事をしているという状態は、
地図を持たずに目的に向かってうろうろしているようなもの。

自分のことしかしなくなる?
数値化による評価でよく言われる批判としては、
みんなが自分のことしかしなくなるのではないか?
ネガティブな見方もあるが、これを解決するような目標を設定すればよい。

「チームあっての個人」を徹底する
個人が達成すればチームは未達でもよいのか?
こうした問題も評価制度でクリアできる。
個人は自分の数字だけを達成するのではなく、
「あくまでチームや所属部署の成績を上げるために存在する」という意識を徹底する。
個人とチームの比重が80:20であれば、
個人として110%の達成をしても、チームが50%であれば
80×1.1+20×0.5=98 となる。

また、管理職やマネージャーは自分のチームだけの成績で評価されるようにする。
プレイングマネージャーを含む管理職は、個人とチームの比重が0:10になるようにする。

第2章 あなたの動きを止めるもの 「確率」の話

インセンティブ制度の弊害
短期的なメリットとしては社内で競争が生まれる
しかし、長期的なデメリットとしては、全員が目先のことだけを考えるようになり、
気持ちは期ごとに区切られ、帰属意識が少なくなる。
中間管理職が不要となる。
こういうプレイヤーは稼げる環境があればすぐに転職する。
組織全体に貢献するほうのインセンティブがまったく無いから。

評価にゼロはない。プラスか、マイナスか
評価に連続性を持たせ、働かないおじさんを生み出さないための方法は1つ
「マイナス評価」を取り入れる。

第3章 やるべきこと、やらなくてもいいこと 「変数」の話

なぜ、を繰り返して変数を明らかにする
実際にアクションをしてみると、連絡やフォローの回数が変数であったことに気付く。
自身で気づくためには、シンプルな方法だが「なぜ?」を繰り返すことが大事。
答えが与えられても意味がない
これからは、これが正解だからやれと言われても意味がない。
プレイヤーとして成長していく過程で、目標と結果以外は管理されないようにシフトしていくことが求められる。
小さな目標を設定し、それをクリアすればモチベーションが上がるだろう思い込んでいる会社が存在する。
これがいつまでたっても社員や部下が成長しない原因である。

上司からのプロセス介入も仮説である
本やネットの情報に限らず、社内で上司から受けるアドバイスも仮説である。
上司の成功体験はあなたにとっては仮説。

第4章 過去の成功を捨て続ける 「真の変数」の話

やらないことを決める
ある有名な投資家はやりたいことを10個書き、上位3つをやるべきこと、その他はやらないこととする。
これによる最重要項目に集中できる。
このようにやるべきことは絞らないと全体のパフォーマンスは落ちる。

変数を減らす2つのアプローチ
変数を減らすためには、
個人として「他に変数がないかを考え、前例を手放す」
チームとしてリーダーから「それは変数ではない、と指示する」

第5章 遠くの自分から逆算する 「長い期間」の話

次なるトップを生み出すために
評価されるのは目標を達成しているプレイヤー、
しかし、長期的な視点から言えば、次なるトッププレイヤーになるのは、「未達だが行動量が多いプレイヤー」
このような時、この方向に進んでいれば問題ないとマネージャが覚悟を決める必要がある
それにより部下は迷いなく行動量を増やせる。

おわりに、
とにかく、「自分の不足」に向き合い続ける
そのために、目標という数字、KPIそ示す数字に向き合い続け、
大きく成長することができる。
そのためにリーダーは
相手に「何が足りていないか」を常に明確にする。