組織と働き方の本質
◆本の概要
著者:小笹芳央
ページ数:224ページ
第1刷発行:2025年4月15日
会社は経済合理性を追い求めるので、常に問題を引き起こすリスクを抱えている。
組織の成立要件
・共通目的 ・コミュニケーション ・協働意思
組織の存続要件
・組織的成果 ・個人の欲求充足
→両輪を回すためには「One for All, All for One」(個人は組織のために、組織は個人のために)
個人は限定合理的な感情人
組織は要素還元できない協働システム
5人のコミュニケーションラインは10本、10人は45本
コミュニケーションや意思疎通、合意形成が2倍ではなく4.5倍難しくなった、複雑性が増したと考える。
組織の問題解決の鍵は「分化」による「複雑性の縮減」にある。
「マネジメント」の本質的な役割
2つの視点で考える
・マクロ(組織全体)の視点では、組織の複雑性を縮減する結節点としての役割
下位に上位の方針や意思をかみ砕いて伝える、下位の状況を分かりやすく上位に報告、左右のマネージャーとの情報交換・連携、組織外とのコミュニケーション
「上下」「左右」「内外」のコミュニケーションの結節点。
・ミクロ(管轄グループ)の視点では、職場のトップとしての役割
「組織的成果」とメンバーの「欲求充足」を成立させるためにコミュニケーションをとる。
マネージャーの役割は多岐にわたるが、第一には管轄グループの「組織的成果」と「個人の欲求充足」の両立を図る。
この両立に向けては、どうしてもマネージャー自らがメンバーに対して影響力を発揮しなければなりません。
影響力の源泉
①専門性 ②魅了性 ③返報性 ④一貫性 ⑤厳格性
人間は「限定合理的な感情人」であるので、感情報酬をいかに与えるか
・承認欲求(ほめられたい、成果を認められたい)
・貢献欲求(感謝されたい、他者に力になりたい)
・親和欲求(良好なチームワークや仲間意識を持ちたい)
・成長欲求(仕事を通して成長したい)
マネージャーの葛藤
①効率vs能率
Allの成果を求めるのが効率、Oneの満足度を求めるのが能率
②短期vs長期
メンバーの強みや経験を活かした仕事の分配を行えば、短期的には成果を創出することができるが、
得意なことばからに傾注させれば自分の弱みや長期的な成長課題に向き合えず、中長期的な発展可能性が低くなる。
③分化vs統合
規模が拡大すれば分化が必要性になる。なぜなら組織の複雑性を縮減するため。
しかし、分化するほど「統合」、つまり目標共有や共通意識、一体感などが弱まる。
葛藤に直面した時、振り子で考える。
短期的にふれている時は、長期にふるように。
とまっている時は要注意。停滞・硬直化している。
組織にはダイナミズムが必要。
第2章 社会的要請の本質
人的資本経営における本質
重要なのは、人的資本の指標と財務成果の繋がりを整理した「人的資本インパクトパス」
組織人事施策(人的資本KPI)→組織・人材の変化(人的資本KGI)→活動の変化(事業KPI)→事業の成果(事業KGI)→財務の成果(BSやPL)
という流れを可視化したもの。
こうしたプロセスを考えて、指標や施策を設計することが大事になる。
人的資本経営の一丁目一番地は「エンゲージメント」
エンゲージメント:企業と社員の相互理解、相思相愛度のこと。
エンゲージメントが重要な理由は、業績や労働生産性と正の相関関係にあるから。
育成した人材が退職などが確率的に起こりづらい。
エンゲージメントが低いと、いくら人的資本への投資を行ってもリターンが得られない。
人材力(個人のスキル・能力)×組織力(エンゲージメント)=人的資本
これに紐づく採用力(価値発揮主体の調達力)がよりクローズアップされるだろう。
新たな価値を生み出す資本を磨き、価値を生まない資本は入れ替える
経営戦略と人材戦略を連動させるほど、価値を生み出す、生み出さないはクリアになる。
日本版ジョブ型雇用の正体
成果主義に制度を変更して業績が急激に転向した企業はない。
ジョブ型雇用:仕事に値段をつける
メンバーシップ型雇用:人に値段をつける
仕事に値段をつけ比較することはできない。
ましてやVUCAの時代には変化し続けるため無理。
現在日本え進められているジョブ型人事制度の多くは
仕事ではなく、役割(職責と成果)を規定している。
正確にはジョブ型ではなく、「役割型」や「ポスト型」
本来のジョブ型は仕事を規定し、その仕事ができる人を採用、なくなれば解雇する。
メンバーシップ型によって働く個人の心理的安全性を担保しながら、
必要に応じて前向きな関係解消を可能な状態をつくること。
一見矛盾するテーマを昇華させる最適解を探ることが、今後の企業経営に求められる大きなテーマである。
第4章 組織変革の本質
自律分散型組織の本質:
コミュニケーションラインの増加によって成立するのは20名程度まで。
マネージャーの重要性が高い。
マネージャーの負荷を低減する3つの方法
①共通言語の活用
言葉の本質的な機能は、情報共有コストの低減にある。
②情報伝達の中抜き
時には経営者からメンバーに直接伝達した方が良い情報もある。
③信頼の構築
信頼が高まれば、少ない言葉、少ない時間で深いコミュニケーションがとれる。
信頼は最大のコスト削減であり、時間短縮。
パーパスを遠い存在に感じている社員に、自分事に感じてもらうためには?
重要なのは、「行為レベル」と「意義レベル」の中間にある「目的レベル」を意識させ、繰り返し伝え続けることである。
日常の仕事(行為レベル)→従事する事業(目的レベル)→会社のパーパス(意義レベル)というように
はしごを順々に上がっていくようにする。
当時のリクルート
行為レベル「個々の企業に求人広告を売る」
目的レベル「求人情報を集めて求職者に届ける」
意義レベル「仕事の選択肢の多い世の中を創る」
「自分たちがやってはならないこと」を伝えるだけでも、
組織を包括するうえで優れた効果を発揮する。
リンクアンドモチベーション十戒
・健康管理を怠ってはならない
・インプットを怠ってはならない
・見て見ぬふりをしてはならない
・苦言に耳をふさいではならない
・天狗になってはならない
・陰口を言ってはならない
・評論家的発言をしてはならない
・機密情報を漏らしてはならない
・ノウハウを抱え込んではならない
・足で稼ぐことを厭ってはならない
「共通の目的が失われていないか」
「協働する意思(モチベーション)が弱まっていないか」
「コミュニケーションの量や質が劣化していないか」
といった要件に注意を払い、適切な包括策を実行していく。
多様化が進んだら、その多様性に対応できるだけの包括をする。
「多様化」と「包括化」の反復運動こそが、強い組織を維持するために欠かせない。
「組織変革のメカニズム」を解き明かす
ほとんどの人が、組織変革に対して最初は「様子見」を決め込む
一度笛を吹いただけでは変わらない。
経営トップが意志を持って笛を吹き続け、何があってもぶれずに、
辛抱強く、孤高に耐えて、変革の臨界点を超えるまで継続する覚悟と行動が必須である。
第5章 環境変化適応の本質
労働市場への適応の重要度が上がっている。
労働市場における最も有効な競争のモノサシはエンゲージメントではないか?
低ければ社員の生産性が上がらず、やめていく社員も増える傾向にある。
すると、さらにスコアが下がる。
これまでの時代は「仕事があるから人を採用する」「仕事が増えそうだから採用人数を増やす」
というのが常識的な考え方でしたが、
これからは、先に採用ありきで「優秀な人材を採用できる会社に仕事が回ってくる」のではないか?
労働市場への適応に成功した会社が商品市場でも勝ち組になっていく。
本質:いつの時代も変わることがなに普遍的なもの
話を単純化して極論に振って考えることで、物事の本質を掴む。
CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)
出資、コンサル
とにかく言語化が大事、再現性がないから